政府の日本学術会議会員任命拒否についての声明
今般、日本学術会議が第25期日本学術会議会員として推薦した105名の会員候補のうち、6名について内閣総理大臣が任命せず、10月13日現在、その 具体的な理由を明らかにしていません。日本学術会議法の任命規定を内閣に独自の判断権があると読む現内閣の主張については、法律を制定した国会と政府の関係など、三権分立や法体系の整合性に関する多くの問題が指摘されています。学問の自由とそれを担保する学術機関の独立性、学界と政治と社会の良き緊張関係など、これまで国際社会で共有されてきた一般原則から見ても、懸念が残るところです。とりわけ本会は、日本学術会議の高校歴史教育に関する提言をきっかけに設立され、多様な歴史的思考力の育成を通じた市民社会や民主的な法治国家の担い手の育成に取り組んできた会であること、任命を拒否された候補者の中に同様の立場から歴史教育でも成果を挙げてきた歴史研究者が含まれることなどに鑑みて、この問題を看過できないと考え、運営委員会での討議にもとづいて、声明を発出した次第です。