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Q&A:当会提案の用語精選案とアンケートに関してよくあるご質問

Q1.今回の「アンケート」と「歴史系用語精選の提案(第一次)」は、どのような関係にあるのですか?

A. アンケートは、用語精選それ自体の是非および精選の基準に関する意見調査です。個別の用語の取捨選択についての是非(つまり、「歴史系用語精選の提案(第一次)」の内容へのご意見)を問うものではありません。また、これは当会独自のものではなく、日本学術会議史学委員会高校歴史教育に関する分科会、日本歴史学協会歴史教育特別委員会との合同調査です。「歴史系用語精選の提案(第一次)」は、当会が独自に作成したもので、アンケートの参考資料としての役割をもちます。高校における歴史系科目の意義(→ Q4)に照らして、2000語弱に用語を「精選」(≠単なる削減)した場合の案になります。

Q2.「歴史系用語精選の提案(第一次)」の内容に対して疑問や意見があるのですが、どこに送ればいいですか。

A. この精選案はあくまでも「第一次案」で、2月末までのアンケート調査結果などを踏まえて年度末を目標に「最終案」を作成し、教科書会社・執筆者や大学入試関係者などに提言を行う予定です。それまで色々なご意見を参考にしたいので、記録などの都合上、お電話ではなく、氏名やお立場などを明記して、「アンケート」へのご回答とは別に、当会事務局まで郵便・メール(kodairekikyo @ gmail.com ←@は半角)、もしくは専用のフォームから是非ともご意見をお寄せください。

Q3.「アンケート」の結果や、今後に作成される「歴史系用語精選の提案(最終案)」は、実際にどの程度の影響力を持つのですか?

A. 誤解されがちなのですが、そもそも高校歴史教科書に「載せるべき用語のリスト」は存在しません(したがって、当会の精選案は既存のリストから特定の用語を削除したものではありません)。歴史理解には歴史観がからむため、特定の団体・個人が強制力のある用語リストを作ることは「思想統制」にあたります。この精選案もあくまで民間団体が自主的に作ったものであり、その尊重を教科書会社・執筆者や大学入試関係者などに訴えるものです。今回、用語精選第一次案に対して想定以上の反響があり、多くの人が用語が過剰になっている高等学校の歴史教科書や大学入試の出題状況の問題点に気づいて、歴史を「暗記科目」でなく、「考える楽しみを味わえる科目」に代えるアイディアを出し合ってくださることを期待しています。そのため、用語精選の基準の在り方を問うアンケートに協力くださるようにお願いします。

Q4.「歴史系用語精選の提案(第一次)」に漏れた用語は、授業で教えてはならないという意見なのでしょうか?また、教科書に載せてはならないと考えているのでしょうか?

A. そうではありません。この案は、「教科書本文に記載し、入試で必須暗記事項として扱う基礎用語」を精選したものです。したがって、ここから漏れた用語は「発展用語」として教科書(たとえば資料、コラムや図表中)に収録することに反対しているわけではありません。たとえば、「戦国大名」を深く理解させようとした場合、「ご当地ネタ」(たとえば、山梨県では武田信玄)は多くの場合で有効ですが、それを十分に活用するためには、全国共通暗記事項は減らさねばならないと考えているわけです。別の言い方をすれば、「北海道や沖縄の高校生でも学ぶ日本史には何が必要なのか」、「高校生が日本という国で学ぶ「日本史」とは何なのか」を意識し、「全国の高校生が覚えるべき用語」を精選したのが、このリストということになります。

Q5.「歴史系用語精選の提案(第一次)」はどのような目的で作成され、なぜ2000語弱としているのですか。

A. 目的については、「歴史系用語精選の提案(第一次)」の3~4ページに当会の見解を明記しておりますので、詳細はこちらをご覧ください。とくに強調しておきたい点は、歴史の暗記科目化を克服し、思考力育成型科目に転換することが目標であり、用語精選をそのために不可欠な手段(ただし、あくまでも手段)であると考えているということです。用語を2000 語弱としたのは、高校教員の経験を参考にして、1時間(50 分)で十分な説明をしながら教えられる用語を15 個程度として見積もっているからです。世界史B・日本史B は建前上140 時間で教える科目であり、実際は学校行事などで時間が減るため、多くて2000 個と考えました。

Q6.「歴史系用語精選の提案(第一次)」における用語精選の基準を教えてください。なぜ、坂本龍馬や上杉謙信は対象外となったのでしょうか。

A. 「歴史系用語精選の提案(第一次)」の4~5ページに当会の見解を明記しておりますので、精選の基準に関する詳細はこちらをご覧ください。なお、この案は、今後のアンケート結果などを参考にして、最終案を作る過程にありますので、現時点では個別の用語の判断理由については回答を差し控えさせていただきます。当会としては、歴史を「暗記科目」ではなく、「考える楽しみを味わえる科目」に代えるには、歴史の大きな流れを示す「概念用語」を中心として、それを説明するために必要な「事実用語」を優先的に残すことを考えています。また、小中学校でどこまで習っていたのかとか、歴史物語と事実としての歴史教育との違いにも注意を払いました。しかも、今回の用語精選は、入試で暗記していることを前提としてよい「基礎用語」として精選したもので、除外した用語が「発展用語」として教科書に収録することを否定するものではありません。

Q7.報道や巷の議論では、とくに日本史上の偉人が「教科書から消える」として話題を呼んでいますが、この点についての意見を聞かせてください。

A. センセーショナルな第一報のおかげでこの試みの存在が広く知られるようになったことにまず感謝しています。しかし、繰り返しになりますが、当会が行った用語精選は大学入試で覚えていることを前提としてよい「基礎用語」に関してであり、それ以外の用語が「発展用語」として教科書に収録されることを否定していません。また、当会の用語精選の提案が実現するかどうかは、教科書会社・執筆者や大学入試出題者などがこの提案を重視してくれるかどうかにかかりますので、ただちに「教科書から消える」かのような報道は誤解に基づくと思います。当会としては、精選案の作成が「日本史」の「人名」だけでなく、「世界史」の「概念」「制度」などの用語全体を対象としており、歴史系科目を「考える楽しみを味わえる科目」に転換するための試みであることに留意してほしいと感じています。坂本龍馬や上杉謙信といった特定の人名に焦点をあてるかたちで報道・議論が過熱化することで、議論の矮小化がなされることを危惧しています。再度強調しますが(→ Q5)、精選案を作成したのは、歴史の暗記科目化を克服し、思考力育成型科目に転換するためであることをご理解ください。