部会のタスク
教材の開発と共有を通して、高大連携の推進及び歴史教育の刷新の機運を高めることを目指します。
これまでの活動
2015年の発足時より、教材や資史料のデータベース構築に取り組んできました。教材共有サイトはその代表的な成果の一つとなります。この過程で、授業構成はコンテンツかコンピテンシーか、教授が議論か、などといった二者択一的思考ではなく、「学習者」に立脚してなされるべきとの共通理解が得られてきました。また、教材は授業の一要素に過ぎないため、教育目標や教授行為、学習形態、教育評価も含めた包括的な共有が、歴史教育の刷新に求められることを確認してきました。これらの成果を踏まえつつ、2024年度は①教材共有サイトのさらなる魅力化、②2023年度より活動している「歴史探究科目の授業理論についてのワーキンググループ(授業理論WG)」における研究活動、③発足から10年が経過した本会における第2部会の役割の再整理、これら3点を柱として活動を進めています。
現在の活動
・歴史探究科目の授業理論についてのワーキンググループ(授業理論WG)(参加人数:57人)
教材論が中心となっていた教材共有サイトにおける教師間での意見交換をより深化させるべく、教材からは見えにくい、なぜその教材をその方法で教えるのかといったねらいや目標を踏まえて、授業内容や授業方法を吟味・検討するワーキンググループです。2023年度より研究活動を続けています。今年度は、3つの小グループに分かれて、それぞれ月に1回程度の勉強会を開催し、「私の授業理論」の相互批評によって授業改善を重ねています。この過程で、共に先行研究を学び合うための「読書会WG」も派生して立ち上がっています。
・(仮称)歴史学研究の最前線を教材化する協働プロジェクト
教材共有サイトにおいて、歴史学研究の近年の業績や歴史学研究者の分析視角などを加味した教材開発が十分になされてきていないという課題を踏まえて、特定分野の歴史学研究の成果を共有するとともに、大学または高校における教材化の可能性を検討するワークショップを開催する予定です。このワークショップを受けて、一定期間で実際に教材化を試みていただき、その実践報告を含めた相互批判のためのワークショップを再度開催いたします。詳細は第2部会のメーリングリストより、追って連絡いたします。
*以下は創設時に交わされた議論の要旨
データベース構築や資料収集に関する第2部会は、20数名が出席して坂井俊樹の司会のもとに、まず自己紹介をかねてこの分科会に期待することなどを自由に述べてから、フリーディスカッションとなった。とくに高校教員が多く出席していた第2部会では、教員の退職にともなって蓄積された授業方法を継承する必要や、アクティブ・ラーニングの導入に備えて協力して指導法を開発することへの期待など、これまで各先生方が開発・蓄積してきた教材や教案をデータベースとして蓄積して公開し共有していくことについて、熱い期待が述べられた。
歴史教育の現状と今後の制度変更の展開についても議論があり、現状認識を共有しつつ可能なデータ収集の方法を模索してゆくことが確認された。ワーキンググループには多くの方が参加を希望されて10名で構成することになり、部会長に小浜正子、副部会長に後藤誠司(京都)を選出した。今後、会報の編集担当とも協力しつつ、データ収集・共有の方法を考えてゆきたい。